化学物質を作る人工光合成技術

投稿日: 作成者: my-c0llege-life.net
光合成

人工光合成のメカニズムを見てみる

人間は酸素を吸って二酸化炭素を吐き出しているのに対して、植物は二酸化炭素と水を使って酸素を生み出しています。
これを光合成と呼ぶというのは、小学生の理科の授業で習いました。
人工光合成とは、そんな植物の光合成を人間の手で、人工的に行うものです。

植物の光合成を人工的に行おうとするとかなり難しく、研究が進んでいる段階です。
いずれにせよポイントとなるのは「太陽エネルギーを利用すること」で、植物は日差しを浴びないとうまく育ちませんが、それは太陽光を浴びることによつて光合成が行われるからです。
実際には太陽光ではなく人工的な明かりでも良いのですが、明るさに反応することで光合成が行われます。
人工光合成においても、太陽光のエネルギーをいかにうまく活用できるかが非常に重要なテーマとなっています。

植物の光合成の場合、二酸化炭素と水によって酸素ができるわけですが、加えてでんぷんやブドウ糖といった有機物も生成されます。
それに対して人工光合成では、酸素に加えてオレフィンなどの有機物を作ることができます。
これも人工光合成の大きなメリットとなっています。
このオレフィンからはプラスティックの原料を作ることができるため、プラスチックを生産する際の環境への負担を大幅に減らすことができます。

プラスチックそのものの削減の動きも進んでいますが、それとうまく組み合わせることでいわゆる「SDGs」の推進に役立てることができるわけです。
プラスチックを減らした方が良いのはわかりますが、こんな便利なものをいきなり全部なくすのは困難です。
ですから、このような「持続可能な形」でのプラスチックの共存方法に価値が出てきます。

太陽エネルギーを使用するとなると、太陽光発電と何が違うのかと疑問を覚えるかもしれません。
太陽光発電はその名前の通りあくまで太陽光のエネルギーを電気に変換するのに対して、人工光合成は先述したプラスチックのようなさまざまなエネルギーや有機物に変換させることができます。
つまり、こちらの方が汎用性が高いというわけです。
しかも有機物だけでなく水素ガスを生み出すことで、後述する役割にも寄与することができます。

世界中で人工光合成に期待されている役割

まずなんと言っても、二酸化炭素の排出量を減らして地球温暖化を改善させる役割が第一に挙げられるでしょう。
温暖化の直接の原因とも言われている温室ガス効果を減らす効果が期待できるのです。

それから、現在主流になっている化石燃料を活用したエネルギーに代わる存在としての役割が挙げられます。
人工光合成によって生成された水素ガスを利用し、化石燃料に頼りがちな日本のエネルギー問題の改善に役立てることができます。
まだまだ本格的な実用化にはコスト面などのハードルがありますが、ぜひ早く実用化して欲しい技術と言えるでしょう。